エンロンの公開電子メールアーカイブのWeb2.0-的利用

wizardofcrowds2006-02-03


す、すごい。あるニュースをみていて、目の覚めるようなサイトをみつけた。

http://www.enronemail.com/

エンロン事件をご存じない方は少ないだろうが、捜査を担当していたFERCという機関が、エンロンの捜査時に収集した電子メールの一部を公開した。

http://www.ferc.gov/industries/electric/indus-act/wec/enron/info-release.asp

この公開データに飛びついたのが、inboxerというアンチスパムアプライアンスベンダー。このベンダーは、inbound emailだけでなく、outbound emailの内容もチェックする、企業向けのアプライアンスを発売している。

そこが、この公開された電子メール51万通を彼らのエンジンにかけ、enron社員のメールの

  • 業務目的利用
  • 個人利用
  • 卑猥あるいは問題ある内容
  • プライバシー漏洩の危険性のある内容

などに分類した。分類結果、ならびに、分類されたメールを上のEnron Email – Investment and real estateサイトすべて閲覧できるのだ。


実際に中身をみると、おお。

すごい。

例えば、プライバシー。合衆国Social Security Numberといわれる非常に貴重な個人情報(これがあれば、クレジットカードだって作れてしまうかもしれない情報)などが記載されたメール(実名入り、実メールアドレス)までみえてしまう。

なんということだ。

さらにこのサイト。ちょっとだけWeb2.0的なのである。個別のメール表示Windowに、

Click to vote in Enron Contest for message that are funny, would
get you fired, or that you would regret sending.

という文章のあとに、投票ボタンが三つ。

  • このメール楽しいね
  • こんなメールがばれたら首になる
  • こんなメール送ったらあとで後悔することになる

がついているのである。えー。このエントリのタイトルにweb2.0-(マイナス)という文字列を使ったのは、このボタンの持つ効果。

だって、こういうスパムだかコンプライアンスチェックアプライアンスだかしらないけど、そういう判定エンジンに一番重要なのは、訓練データでしょ。それを、ここで集めちゃってるわけですよね、投票という形で。そこが、web2.0ちょっとマイナス的かな、と思ったわけ。TimのWeb2.0論文に、cloudmarkというアンチスパムベンダーの例が出ていたけど、それの破廉恥版、といったところでしょうか?

すっげーよな、このinboxerという会社。露出度をあげるだけでなく、ついでに、訓練用データまで収集しちゃうんだから。またとないマーケティング+精度強化の策。頭いい。

しっかし、こんな個人情報が含まれたサイト、日本では個人情報保護法に抵触。ありえませんな。合衆国ってこわーい国。



追記
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20060201302.html
でもちょっと取り上げられていたのね。