江島さん、それは本当に「実力の不足」の問題か?

江島さんの「LingrとRejawサービス終了のお知らせ」への、コメントエントリ。

postmortemの部分はGetting Real派として賛同します。それ以前のオフィシャルな謝辞の部分で、「実力の不足」とありますが、江島さんの実力はうらやましい程ずば抜けてある。実力よりもっと下のレイヤの話じゃないでしょうかね。前言語判断というかその人/エンティティの持っている文脈レベルの話。上場企業を親会社としたエンティティでは、ある資金があって、その資金の範囲で、人を雇うのも当然という暗黙の判断がある(裏返すと、人を使わずに、Super Entrepreneur一人でできることならば、上場企業の子会社でやることではない)。これが図らずも制約条件になってしまうので、事業にどうしてもその出自の色が出てしまうのです。postmortemの分析は正しいけれども、では、なぜそうなったのかは、江島さんの実力の問題ではないと思います。公式な謝辞として他の良い表現がないから使っているのかもしれないけど。

江島さんのpostmortemの中で、教訓は「究極の少数精鋭はひとり」「プロパー指向という贅沢は軌道に乗ってから」とのくだりがありますが、「その事業を始めるために本質的なエンティティのあり方、資金調達の方法は何かを問う」ということが付け加えられうる、ということなのだと思います。

以下はケーススタディです。参考になれば。

最近あるサーチエンジンのアイディアが浮かんで、相棒の@engと途中まで作ってみて動かしたのだけど、確かにとてもおもしろいし使えるのだが、きちんと計算基盤を作らないとBlazing Fastなサービスが実現できない(=Dannyクラスの人をフルタイムで雇わないといけない AND 年間数百万の計算資源経費がかかる)ということが明らかになりました。すなわち、2 millionぐらいないと実現不能だということです。ポケットマネーの範囲だと、レスポンスに20秒ぐらいかかるサーチエンジンになってしまう。

そこで、「この件において、外部から2 million調達して、会社をあらたに設立したとして、本当にそれが、@engなり@wizardofcrowdsのやりたいことなのか?」と、考えたのです。そう環境に自分がいたとして、自分の魂が本当に吠えることができるか、と。@engも@wizardofcrowdsも答えはいろいろな理由からNoでした。なのでそのアイディアを追求するのはきっぱり辞めました。Googleみたいなプレーヤーがいずれやることでしょう。

現在、このサーチエンジンの探求の中で派生的に出て来た別のアイディアをパートタイムで開発中です。ポケットマネーでできる事業です。ポケットマネーの範囲だからこそ、やりたい放題できる。自分達らしくできる(生産性最大100倍の境地)。言ってみれば今は新しい雑草の種です。一つの雑草の種でも、自己触媒的なサイクルに入れれば、空き地を覆い尽くすことだってあり得る。そういう時代に突入しているのだと思います。私が言うSeeking Robustness、あるいは雑草経済というのは、簡単に言うとまあそんなことです。渡辺聡さんの「競争が個人にシフトするかという話」にちょっと関連することですが。

江島さんの次の発芽、心より楽しみにしています。